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心不全(僧帽弁閉鎖不全症)
10歳を超える犬によく発症する心臓の病気です。
心臓は拡張と収縮を繰り返し血液を全身に送るポンプの役目をしていますが,左側の左心房と左心室の間にある2枚の弁を僧帽弁と言い,肺からの血液を大動脈に送っています。
この病気は加齢によりその弁が変性し,しっかり閉じなくなることで血液の逆流が生じ,肺からの血流がスムーズに流れなくなり肺に血液が貯留します。
すると,肺に水が溜まる肺水腫になり発咳しだします。
この状態を僧帽弁閉鎖不全症と言います。
血管拡張剤および利尿剤により症状は改善しますが,心臓は元には戻らないので薬を飲み続けなくてはなりません。
獣医師の心雑音の聴衆や咳が出ることで動物病院に行って初めて診断されます。
加齢による変化なので防ぐことは出来ませんが,早期発見がその後の寿命を左右するかと思われます。
皮膚炎・外耳炎
アレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)が人間同様に多くみられます。
しかし,人間のリウマチの薬であるジャック阻害薬という炎症の元を断ち切る良い新薬があり,犬のアレルギー性皮膚炎は抑えることができます。
季節により発症する場合はその時期だけ薬を飲みます。
また,ビーグルやトイプードルなどの耳が垂れた犬種は特に耳垢が溜まりやすく,そこにマラセチアという酵母菌が繁殖して外耳炎を起こします。こげ茶色の臭いにおいの耳垢が特徴です。
耳垢は市販の洗浄液を用いて,まめに手入れをすれば外耳炎にはなりません。
外耳炎は放置すると耳の深部まで炎症を引き起こすので,獣医師に相談し治療してください。
急性膵炎
膵炎も多い疾病です。
膵臓は小腸に消化酵素を放出し食餌を分解させる臓器ですが,何らかの原因で膵臓内で消化酵素が膵臓自体を分解してしまうことで発症します。
嘔吐,下痢および強い腹痛(疼痛)があり,余りの痛みで前足を合わせる「祈りのポーズ」をとることもあります。
治療は制吐剤,鎮痛剤(オピオイド鎮痛剤)および輸液(点滴)を行い,犬用の膵炎治療薬を5日間静脈に投与し,消化器機能改善薬等も投与される場合があります。
以前は絶食が基本でしたが,現在は出来るだけ早く低脂肪食を与え,食べられない場合は鼻から食道に細い管を通して,ペースト状にした食餌を注射器で流し込む等の処置が取られます。
食欲廃絶など重篤な場合は播種性血管内凝固(DIC:血管内で血液が凝固し血栓を作る)等の発現の恐れがあるので,動物病院に入院して治療します。
歯周病
多くの犬が歯にトラブルを抱えています。
歯周病が進行すると強い口臭がして,歯茎からの出血や歯肉炎になり食餌も嚙めなくなります。進行すると化膿して歯茎や顎に瘻管を形成し膿を排出するようになります。
食欲が無いと動物病院に行って初めて歯周病と診断される場合が多いです。
口臭がする等気付いた場合は,直ぐに動物病院を受診してください。
歯周病になると全身麻酔下で歯石除去,化膿している場合は抜歯の手術を受けることになります。
歯磨きガムをまめに与えたり歯磨きをして,歯の健康にも留意しましょう。
イヌのワクチンについて
イヌのワクチンには6種,7種および10種混合ワクチンと各種あり,どれにすれば良いのか分からなくなりますね。
ペットショップでは大半が最低の6種混合ワクチンを接種されていて,ワクチン代として追加請求されているかと思います。6種では「ジステンパー、アデノウイルス1型・2型、イヌパルボウイルス、犬パラインフルエンザおよび犬コロナウイルス」と最低限の病気のワクチンしか接種されていません。
「部屋から絶対に出さない!」という飼い主さんならそれで充分ですが,そんな飼い主はいませんよね。
イヌと散歩をすると他のイヌと触れ合ったり,見知らぬイヌのオシッコやウンチの臭いを嗅いだり舐めたりしてしまいます。ときには土壌やネズミの尿から感染するレプトスピラという,人間にも感染する病気に感染するリスクがあります。
私の病院では10種混合ワクチン「ジステンパー,アデノウィルス1型・2型,イヌパルボウイルス,犬パラインフルエンザ,犬コロナウイルスおよび犬レプトスピラ(カニコーラ・イクテモロヘモラジー・グリッポチフォーサ・ポモナ)」を接種しています。
6~8週齢で1回接種し,6カ月または1歳齢で再接種(ブースター)し免疫力を上げます。次からは毎年1回の接種となります。
なぜ,10種なのか。それは宮崎,鹿児島県が日本でも暖かい地域であり,また,近年の温暖化があります。犬レプトスピラは暖かい地域のネズミの尿に含まれていることがあり,その尿を散歩で舐めたりした犬が感染し,さらには人へも感染する場合があり重篤になることがあるからです。
ワクチン接種で注意したいのは,アレルギー体質であった時の副反応です。ワクチン接種後は30分程様子をみて異変があったら獣医師に診てもらって下さい。また,当日は激しい運動は避けましょう。
フィラリア予防について
フィラリアは蚊が媒介する寄生虫感染症です。フィラリアに感染している犬を蚊が刺すことで血液と共にフィラリアの幼虫も吸い,感染していない犬を刺すことで幼虫に感染します。
フィラリアは犬の血液中に寄生し,長く幼虫(ミクロフィラリア)の状態でいますが,成虫になると白く細長いミミズの様になり,心臓に寄生すると弁に絡まり心不全を引き起こします。成虫になると血管からフィラリアを取り出す手術となりますが,完全に取り出すのは難しくなります。
フィラリアはイベルメクチンと言う日本人のノーベル賞をもらった大村智先生が,土の中の微生物から見つけた薬で,古く人間に蔓延していた疥癬,線虫および回虫等を駆除しる優れた薬で,犬のフィラリアにも使われています(イベルメック等)。
現在は様々な薬が開発され,また,配合されてフィラリアだけでなく他の寄生虫にも効く薬が多く出ています。
私の病院では,ネクスガードスペクトラと言うフィラリア,ノミ,ダニから他の寄生虫まで全て網羅するものを使用しています。
1年間効果のあるフィラリアの注射薬が最近再認可されましたが,フィラリアだけに限定されるので当医院では使用していません。
10種混合ワクチンとネクスガードスペクトラを使用していれば,歯,耳および加齢や肥満による病気以外のリスクはかなり低減すると考えます。。
犬のしつけについて
犬は順位制を重んじる動物で,自分が家の中でどの順位にいるかを判断して,行動します。
よくある散歩の様子で,犬が先に行って飼い主が引っ張られている場合はしつけ失敗で,飼い主より犬の順位が上になっています。その様な犬は,食餌をしている時に触ったら怒ったり,しまいには飼い主に嚙みついたりするいわゆるわがまま犬です。
きちんとしつけがなされている犬は,散歩の時は飼い主の横を常に歩き,食餌中に触っても怒りません。順位が飼い主より下と判断しているからです。
私は公務員時代に保健所に6年間勤務し(30年程前ですが)犬のしつけの講義に参加した経験もあり,実際犬を飼っていた時しつけをしっかりとしました。
しつけの基本は散歩からです。犬が行こうとしたら前に出てさえぎり,また他へ行こうとしたらさえぎり,それを何回も繰り返すと犬は「ご主人様,私はどうすればいいですか?」と飼い主の顔を見ます。散歩の時は常に横を歩かせ,前に進んだらリードを強く引き「前に行くな」のサインを出します。毎日の散歩でそれを繰り返すうちに「自分は飼い主より下」と認識します。家族で皆それをすれば,家では1番下の順位となります。
順位が分かることで犬は安心します。食餌中でも信頼関係があるので「この人は自分の食餌を横取りしない」と理解するので触っても普段通りです。
他にも幾つかのしつけ方があるので,動画サイトで検索してください。どうしても上手く行かない場合はドッグトレーナーに依頼するのも良いと考えます。
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